出版業界の未来は?

 
須賀です。

こんなニュースが目につきました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33257910R20C18A7MM8000/

KADOKAWAが直接取引する書店を
現状の3倍に増やすそう。

「それがどうしたの?」と思いますか?

ご存じない方のために、出版業界の本の
流れをご説明しますね。

多くの方は、本って、出版社から書店へ
直接送られていると思ってますよね?

これ、違うんですよ。

出版社と書店の間に、「取次」と呼ばれる
卸問屋さんがいるのです。

出版社は最初に取次に本を卸して、それを
取次が全国の書店に配本していく流れ。

書店で売れた本の代金は取次が回収して
出版社に支払います。

こうすることで、出版社としては取引窓口が
ひとつ、ふたつ、みっつくらいに絞られて
物流と金融部分で楽になるわけです。

書店としても、取引するのは基本的に一社の
取次なので、注文が簡単なわけ。

でも、デメリットも存在します。

街の小さな書店などでは、仕入れが自分の
思い通りにいきません。

例えば、村上春樹の新刊が出るとして、
自分としては30冊入荷したいところなのに、
取次としては全国の書店にバランスよくというか、
大手書店に多めに配本したいので、15冊しか卸さない、
みたいなことが起きるのです。

しかも、書店としては「売れそうにない」本でも
取次から配本されれば店舗の在庫になる。
ただし、ある程度の期間で、もしくはすぐに、
「返品」ができるのでリスクはなかったりもする。

ただ、陳列している本が売れなければ書店の売上には
ならないので、どこにどんな本をどれくらい置くか、
というのが書店の売上を左右するわけですね。

出版社としても取次の存在はありがたくて、
返品になった本は、その分の代金を返さなくては
ならないはずのところ、それを新刊本の出版で
相殺したりできるのです。

お金なくても新刊を出せばしのげるシステム。

で、ちなみに、素人が自費出版で本を作って
全国の書店に並ぶのを夢見る、なんてことが
ありますが、ほぼ間違いなく書店には並びません。

取次で取り扱ってもらえないと配本されないので。

口座を借りて卸してもらうところもありますが、
これには限界があります。

取り扱ってもらいたければ、地道な書店営業が
必要なわけです。

で、KADOKAWAの話ですが、つまりは取次を
すっ飛ばして書店に出荷します、ということ。

取次としては微妙なのでしょうが、書店や顧客の
満足度向上につながったり、返本を減らすことで
資源の無駄をなくす効果もあるでしょう。

ま、いまではアマゾンのオンデマンドを使えば
一冊から印刷できる時代ですので、出版社を
通さなくても本が出版できる時代です。

編集者を介さないと質が高まらない、という
指摘もありますが、高めたければフリーの
編集者を見つければいいだけですしね。

出版業界、何年も前から終わりの始まりとか、
そんな感じで言われていますが、変化する
タイミングなのですね。

まだまだいろんな動きがあるでしょう。

最適化が進んでいくのですな。

では、また。

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