記憶があいまいです。

 
須賀です。

あなたはある事件の目撃者になりました。

セミナーに参加しているとき、
ある男性が突然立ち上がり、大きな声で
講師に対する反対意見をまくしたてました。

その男性の言葉に反応して、別の男性が
反論し、言い争いになった末に、お互いが
じりじりとにじみより、取っ組み合いの
喧嘩に発展、騒然とする中、一方が発砲!

現場は大混乱になりました…。

目撃者のひとりであるあなたは、
この事件に関して、見たままを話してもらうよう
警察に協力を求められたとします。

はたしてあなたは、どれくらい、
事件を「ありのまま」記憶していられるでしょう?

想像するのは難しいかもしれませんが、
ちょっとイメージしてみてください。

あなたの記憶に、自信、あるでしょうか?

あってもなくてもかまいません。

自信がある、なしに関わらず、
あなたの記憶はあてになりません。

「え?どういうことですか?」
と、ちょっとイラッとしましたか?

それはそれで仕方ない。

人は自分の記憶に自信を持つ一方で、
実際のシチュエーションを振り返ると
一致していないことが多いそう。

上のシチュエーションも、心理学の
実験でおこなわれたものです。

この実験のとき、その場にいた聴衆を
いくつかのグループに分けました。

1つ目のグループは、目撃したことを
その場で書き出すように指示。

2つ目のグループは、対面で質問。

3つ目のグループには、後日に報告書を
提出するように指示しました。

報告の出来、不出来を、人の行動や発言の
内容など、正解か不正解かで表せる14の
小さな項目に分けたそう。

報告の間違いの程度として、事実の漏れ、
内容のすり替わり、余分な記述の追加の
回数を数えた。

結果、学生たちの間違いの割合は、
26から80パーセントまでの幅があった、と。

喧嘩をした二人は「役者」だったので、
台本に忠実に行動したわけですが、
その役者が決して取っていない行動も報告され、
重要な行動が抜け落ちていた場合もあった。

口論の発言内容に余計な単語が付け加えられ、
なにもしゃべっていない人も言葉を発したことに
されていました。

この類の実験、かなりやられてるそうです。

そのたびに、人の記憶のあやふやさが示されている。

結局、人の記憶ってどういうものか?というと、
「要点は記憶できるけど細部は記憶できない」
ものだそうで、しかも、記憶違いで欠落している
部分については「でっちあげる」もの。

つまり、大体はおぼえてるけど、細かいことは
おぼえてないばかりか創作しさえする。

ってことは、記憶の中での言った、言わない、
みたいなのって、まったく役に立たない。

逆に、細部の記憶を忘れられないとどうなるか?

これも困った事態になります。

人の顔が覚えられないそうです。
今日、目の前にいる人と、過去にあったその人と、
ちょっとした表情や髪型、光のあたり方の違いも
感じるので、一致するかどうか判別できないそう。

想像を超える状況ですが、細部まで記憶できる、
ということは、おおまかに同じ、ということが
認識できなくなってしまうのですね。

なかなか興味深い話です。

あなたの記憶、正確でしょうか?

自信がなくなってきたかもしれません。

もし、それでも、
「私は学生時代から暗記科目には自信がある!」
という場合には、この実験をしてみてください。

あなたがもっとも目にし、手にとることが多い
100円硬貨の裏表の絵を、記憶だけで描いてください。

表の花、裏の100の文字のフォント、周りの文字、
記憶だけで正確に描けるでしょうか?

なかなか難しいと思います。

これができないからどう、ということではありません。

記憶って、自分が思っているよりもずっと
あいまいで、正確でないということです。

だからどう、というわけでもありません。

自覚がある、というのがひとつのポイント。

頭の片隅にでも入れておいてみてください。

では、また。

 

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