須賀です。
数日前、サッカー元ドイツ代表の中心選手、
メスト・エジルが長文の手記というか、
声明みたいなものを発表しました。
ワールドカップの前に、トルコの大統領と
面会して所属チームのユニフォームを
プレゼントしているところを写真に収め、
アップしたことが問題視されていたのです。
エジルの両親はトルコからの移民で、本人は
ドイツ生まれドイツ育ちのドイツ人。(たしか)
ドイツ代表としては前回のブラジルW杯の
優勝にも大きく貢献した人物です。
ところが、今回のW杯でグループリーグ敗退、
そのスケープゴートにされ、件のトルコ大統領
との写真を槍玉にあげられたりしたことで、
事実上の代表引退を表明してしまいました。
また、大躍進したベルギーのFW、ルカク選手も
手記のようなものを発表しています。
ルカク選手の両親はコンゴからの移民ですが、
本人はベルギー生まれベルギー育ちのベルギー人。
子どものころから人種差別を受けてきたことを
赤裸々に書いています。
かつて、フランス代表でも移民の子どもが
代表チームに入ることを問題視する向きがあったそう。
ただ、そうなると、生粋のフランス人選手だけで
チームを組むことになり、戦力は大幅にダウン。
ジダンもアンリもヴィエラも入れなくなるからね。
日本でもこれから、そういった視線、議論は
徐々に増えていくのかもしれません。
テニスの大坂なおみ選手とか、
陸上のケンブリッジ飛鳥選手とか、
野球のオコエ選手とか、
特に肌の色の違う選手たちに対して、
日本代表と呼ぶことに違和感を覚える人が
出てくるのかもしれません。
それはそれとして過渡期に起こりえることなのかも
しれませんが、余計な議論は防ぎたいものです。
過去にも、外国出身の選手が日本代表の選手として
活躍してくれたことはありました。
サッカーならラモスさんやロペスさん。
ラグビーでもマコーミックさんがいましたよね。
他にも、僕が知らないだけで、他国から帰化して
日本人として活躍された方は多くいるはずです。
ダルビッシュなど、ハーフの選手もいるし、
王さんも国籍は中華民国だし。
なにがいいとか、悪いとか、理想的だとか、
そういうのはわからないのです。
人によって基準が違うので。
人によって捉え方が違う、ということを
理解する必要はあると思います。
エジルやルカクは、生まれたときから
ドイツ、ベルギーに住んでいるのだから、
自分はその国の国民である、という意識。
ただし、自分の祖先のルーツも大事にしたい。
ということを発信しています。
オリンピックなどは国威発揚の場としての
活用もあるので、「どこの国民か」が強く
クローズアップされやすくなります。
メダル獲得数で比較したりするし。
でも、本来は国別にする意味はあまりない。
個人対個人の争いであるならば、
国籍は関係ないのです。
チームスポーツの場合は、所属が関係するのは
いたしかたのないことですが、考え方をもっと
柔軟にしていくことが必要なのかもしれない。
「国を代表する」というナショナリズム的な
発想をするから愛国心とかアイデンティティが
邪魔をするのではないかと思うのです。
ただ単に、その国にルーツがある、長く住んでる、
みたいな理由だけで所属チームを選べると、
もっとフレキシブルな感じになるかもしれない。
ただ、そうすると、お金のある中東とかに
有力選手が集中しておかしなことになる、
という懸念もあるのですが。
国体のための移住みたいな話と同じで。
結局のところ、結論は出ないのです。
ただ言えることは、いろんな人がいて、
いろんな考え方があって、それぞれが
正しいとかそうでないとかではなく、
考え方の多様性を受け入れましょうってこと。
ひとつの正解があるわけじゃない。
だとしたら、それぞれの納得でいい。
ただ、人を攻撃するものではない。
それくらいのスタンスがいいのでは?
では、また。
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