経済のあり方が人間のありようを決める

須賀です。

「経済のあり方」ってのは、
家計の収入が多いか少ないか、
という個人の事情もありますが、
もっと大きな、社会的な意味です。

お金があれば裕福で、なければ貧乏、
それによって、生活スタイルは違う、
ってことは現実としてあります。

つまり、
「お金が基準」の経済システムが
人間の振る舞いを決めている。

シュンペーターさんは、
こう言ったそうです。
・・・
経済や社会は独自の力で動く。
人々は自分の希望によらず、
一定の行動を選ばされてしまう。
自由を奪われるというよりも、
自ら心理的に選択の幅を狭めてしまうのだ。
・・・

「お金がなくてもハッピーだぜ!」
っていうのは、今の経済システムでは
なかなか受け入れられない。

そういう生活をしている人もいるけど、
かなりの少数派に分類されますよね?

変人扱いされます。

だから、お金がなくてもハッピーに暮らす
スタイルより「お金が充分にある状態」を
求めるように大多数の人々は行動する。

でなければ、楽しくもなくやりがいもない
仕事を嫌々でもやる理由はありません。

これがつまりは、自由を奪われるのではなく、
自ら選択の幅を狭めているってことですね。

お金が中心の貨幣経済である以上は、
仕事をする、ライスワークが優先されるのは
仕方がないよね、みたいな話です。

ここでちょっと、頭の体操。

「お金」に価値がないとしたら、
日々の生活はどう変わるでしょう?

最近、マスクと紙製品が店頭から消え、
お米も一部で品薄になりましたよね。

お金があるとしても、
欲しい物が買えない状況。

メーカーには原料や在庫が豊富にあるし、
生産能力もしっかりあります!
と言われても、手元になければ不安。

これ、転売屋がどうのこうのもありますが、
原因は「とりあえず確保しておきたい」の
大衆心理ですね。

マーケティング用語では、
「ニーズ」と「ウォンツ」
ってのがあります。

ニーズは必要性
ウォンツは願望、欲望
みたいに解説されます。

が、ニーズは必要性というより、
「欠乏」が意味的には近いです。

「こういうの必要だな」ではなく、
「なくなったら困る」がニーズ。

これは、生活水準が上がると
その分だけレベルが上がります。

イメージしてください。

朝、トイレに入りました。
目の前にドアがあり、外からなにか音が聞こえる。
太ももにはいつもと同じ便座の感触。

いつものように、もしくは、いつも以上に
とっても「快便」だったとします。

スッキリとした気分で、
ウォシュレットのボタンを押す。

でも、ガーとかギーとか音がするだけで
お尻に向かってくるはずの温水がこない。

いつもなら温かく、ほどよく刺激してくれる
あの感触が得られないのです。

どんな気分になりますか?

「あ、壊れたのか、しょうがないか」
って、あっさり受け入れられるでしょうか?

そうはいかないのでは?

ハッ!としながらも時間の経過とともに
状況を受け入れて、紙だけで拭いて流す。

ただ、いつもと違う、
なにか釈然としないお尻の感覚が
残るのではないかと思います。

で、考えるわけです。

「修理が必要だ」と。

いままであったものが、ない。
普通に手に入るはずものが手に入らない。

こんな欠乏感がニーズ。

でね、話を戻しつつ、踏まえると、
貨幣経済ではニーズを刺激されるのですよ。

「ないと困るでしょ?」って。

同時に、ウォンツも刺激されます。
「これ、欲しくないですか?」って。

だから、新製品が常に生み出されます。

貨幣経済という経済システムでは、
欠乏と欲望が人間のありようを決めている。

それがいいとか悪いとかじゃなく、
現状はそうなのだから、うまいこと適応して
生き延びるのが生存戦略なのかもしれない。

ここで、もう一歩、踏み込んで考えること。

当たり前に手にできているモノが、
手に入らなくなるとしたらどうか?

新型コロナに関連した品薄の騒動は、
物流が追いついていないことが原因と
思われます。

普段の、平時の購買量を上回って
みんな買うから品薄になってる。

原料も在庫もあるから大丈夫、
なんだけど、それは運んでくれる人が
これまでと同じかそれ以上に頑張って
やってくれるものと信じてる。

「物流が追いつけばOK」というのも
これから見直していいのかもしれません。

買いだめして在庫を確保しよう
と言ってるわけではありません。

当面の生存戦略としては、それが
適切かもしれませんけどね。

が、長期的に見て、
「お金の価値」に頼る生活スタイルが
最適かどうか?は、どうでしょう?

いろいろ考えさせられますね。

まぁ、なんというか、世界は
複雑で、シンプルで、そのミックスで、
よくわからない。

きっと、これからのことは、
「わからない」世界に、いま
いるんでしょう。

だとしたら、
わからない経済、政治、環境の中で、
どうやって生きていきたいか?が
問われているのかもしれません。

経済のあり方が「わからない」なら
自分の「ありよう」は自分で選択する。

どうしましょう?

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